ドアを開け、いつもと違う一歩を踏み出す。

1月の冷たい風が頬を突き刺した。

コートに包んだ身を縮め、一瞬で冷たくなった自分の顔に触れてみた。




そこにはあの



ヒゲ!



ヒゲ!



ヒゲ!!!











1月22日。


オレのムダ毛には死刑が執行されます。






オレ、生まれて初めてエステに行きます。






アパートからエステへと続くこのグリーンマイル


ヒゲの足取りはやはり重いようです。




比して、オレの足取りは実に軽やか。


うれしくて仕方がありません。




こいつのせいで一生のうち何分無駄にしていることか!(SOUND OF YUSIC [HELLO GOODBYE-#0706] 参照)







でも、それも昨日までの話。







今日オレは進化を遂げます。







「ヒゲの生えない男」へと!







午後3時。

エステの入っているビルに着きました。



エレベータで上に上がると入り口の前には等身大のベッカムとビクトリアが。







オレもこんな風になれるんだ。







ベッキンガム宮殿みたいなのを建てれるんだ。







う〜ん、オレの場合は宮殿になんて名づけよう。








バイキンガム宮殿か・・・。









宮殿建てるのはやめておこう・・・。








オシャレな入り口を前に緊張感が高まってきます。


いつもの「赤提灯に暖簾」のお店とはわけが違います。


きっとキャバ嬢みたいなブリブリしたおねーちゃんが中で待ってるんだろうな。


もしくは、ホストみたいなチャラチャラしたおにーちゃんが中で待ってるんだろうな。





入り口で考えていても仕方がないので、思い切って入ってみます。









「いらっしゃいませ〜」









!!!









ん〜・・・。






ちょっと待って!
頭の中を整理させて!





今日はオレはエステに来ました。

入り口の前にはちゃんとベッカムもいます。

ドアにもちゃんとエステの名前が書いてあります。









なのに、なんで中から出てきた店員が










ドランクドラゴンの塚地武雅なんじゃー!!!










「どうぞこちらにお掛け下さい」









不安・・・。

なんか、すげー不安・・・。




だって、今日のこの無精ヒゲのオレでも間違いなくこの店員よりはかっこいいぞ。


しかも、軽くデブだし!


中途半端にヒゲがデザインされてて気持ち悪いし!


しかも、Yシャツの上にCHAMPIONのパーカー着てその上からエプロンみたいなのしてるし!







エステの効力ってこれで限界なの??









普通のお客だったら不安でたまらない状況です。



かっこよくなってモテたい!!
 ↓
そのためだったら金をかけてもいい!
 ↓
清水の舞台から飛び降りるつもりでエステに行ってみよう!
 ↓
行ってみたら店員が塚地だった!!



もう「不安」というより「絶望」です。

「絶望」というより「事故」です。

哀れとしか言いようがありません。







ところがオレの場合は始めのコンセプトが違います。



笑えるネタが欲しい!
 ↓
そのためだったら金をかけてもいい!
 ↓
清水の舞台から飛び降りるつもりでエステに行ってみよう!
 ↓
行ってみたら店員が塚地だった!!






ある意味これ以上にない展開です。

しかも、しょっぱなから!



ありがとう・・・。



自然と感謝の気持ちでいっぱいです。



最高の「ツカミ」をありがとう・・・。



思わずにやけてしまいます。







まず、実際の施術の前に塚地からいろいろと説明を受けます。


料金のこと。

直接体に施術を行うために事前に問診表を書かなくてはならないこと。

個人情報の取り扱いに関すること。

などなど・・・。



確かに、皮膚に直接施術を施すわけですから当然です。




と、いうわけで最初に病歴など問診表に記入していきます。





おととしまでならそんなに書くことはなかったのですが、去年以降はそうはいかなくなりました。




「胃・十二指腸潰瘍」



「細菌性大腸炎」






過去に数々のネタを提供してくれた病気たち。

オレにとっては神のような存在です。






ただし、今日はエステティックサロン



消化器系の質問はさほどおよびじゃありません。



やはり、ほとんどは皮膚系の病気に関する質問ばかりです。



「アトピー」や「アレルギー」、「ただれ」や「かゆみ」などそこらへんを重視して書かなくてはならないようです。







う〜ん、アレルギーねー。




消化器系ばっかり書くのもなんだから「花粉症」でも書いておくか。





オレは小学校5年の時から毎年春から夏にかけてひどい花粉症に見舞われます。





入院しても上司には見舞われないのに、花粉症には毎年見舞われます。






だから、一応書いておきます。






あ、そうそう。

「ジンマシン」もだ。






「ジンマシン」



これは高校のときくらいから時々出るようになりました。



英語風に書くと「Gin−Machine」と非常にかっこよくなる病気ですが、実際のところ全然かっこよくありません。





特に、オレの「Gin−Machine」は普通のヤツと違います。


アレルギー性だと食べ物などで発作が起こるのですが、オレの場合は運動などによる発汗によって発作が起こります。


運動以外でも風呂やサウナで汗をかいて、その後冷えたりすると発疹が出てくるのです。


高校のとき保健の先生に聞いてみたところ「コリン性ジンマシン」というものみたいです。






お得意の「原因不明の病気」です。








一応、問診表にはこんな感じで書き込みました。


これを提出していよいよ本番が始まります。





塚地がオレの問診表に目を通してます。








う〜ん、やっぱり似てるなぁ〜。




あ!

しかも、バッジに「店長」って書いてる!





コントじゃんか!

コント!!







塚地:「あのぉ〜、ちょっといいですか?」




オレ:「はい?なにか?」




塚地:「ここにジンマシンって書いてあるんですけど、何を食べたりすると出るんですか?」




オレ:「あぁ、それ?」




塚地:「卵とか魚とかですか?」




オレ:「いえ。オレの場合食べ物じゃないんですよ。」




塚地:「食べ物じゃない。では、何で出るんですか?」




オレ:「運動とかで汗かいた後に冷えたりすると出ます。たまに。」




塚地:「汗をかいた後に冷やすと出るんですかぁ〜。う〜ん・・・。」







塚地:「万が一お客様のお肌にトラブルがあってはいけないので、一応施術の前に提携のお医者様に電話して聞いてみますね。」







さすがはチェーン店。


こういう管理はしっかりしているもんなのですねぇ。







塚地:「なんというジンマシンかわかりますか?」





オレ:「確か「コリン性ジンマシン」とかいうやつだったと思いますけど。」





塚地:「コリン??どういう字を書くんですかね?」





オレ:「あぁ、カタカナです。カタカナ。」





塚地:「まさか、「小倉優子」で発作が起こるんじゃないでしょうね?(笑)








・・・??





この芸人、何言ってんの?





あぁ、そういうことか・・・。







オレ:「あれは「こ」までで一区切りだから!!!








オレはなんでエステにまで来てツッコミをやってるんだろうか・・・。








どうやら、この塚地。


小倉優子の「ゆうこりん」の「こりん」と「コリン性ジンマシン」の「コリン」をかけていたようです。







人の病気で笑いとろうとしやがって。



全然おもしろくねーんだよ、このクサレ豚が・・・。











コリン・マクレーに轢き殺されちまえ!!

「コリン・マクレー」=WRCの名ラリードライバー。








ほら、オレのほうがおもしろい。


コリン・マクレーを知らない人のほうが確実に多いのに、あえて出すこの勇気。


このオレ様に笑いで勝負かけようなんざ、100年早いんだよ!









自分からボケておいて初対面のオレ様につっこませたくせに、この塚地。





「あぁ、そうか。」





とかいう、ふざけたリアクションを残して去っていきます。


客相手にボケたなら、つっこんでくれた客に対してそれなりのリアクションを事前に用意しておいて欲しいものです。




営業マンはそこらへんには厳しいのです。








「ババアの立ちしょん」を目撃してしまった時のような不快感を覚えたまま、塚地の電話が終わるのを待ちます。





あらためて、顔を触って見ます。



見苦しいヒゲどもが最後の時を前に震えています。







でも、オレもなんか緊張してきたな・・・。





奥ではエステティシャンらしき若い女の声がします。



オレのヒゲを抜きたくて抜きたくて仕方がない女の声がします。



オレのヒゲを抜きたい一心で、OLという道を捨てエステティシャンという職業を選んだ女の声がします。









オレも早くヌキたい・・・。





ヌカれたい!






ヌイテほしいっっっ!!!











そんな艶っぽい妄想に浸っていると、またあの男が水を差しに戻って来ます。








塚地:「お待たせしましたぁー。」











あぁ、緊張してきたぁー。



エステティシャンってやっぱ綺麗なんだろーなー。






S手:「はぁ〜い、ヌキますよぉ〜♪」





オレ:「アッ・・・!」





S手:「あ、ごめぇ〜ん。ちょっと痛かったぁ〜?」





オレ:「ううん。大丈夫。もっと強くして!」





S手:「じゃぁ、次はここかなぁ〜?」






ふふふ・・・。

ふふふふふ・・・。










塚地:「あのぉ〜・・・」







ちっ、なんだよ・・・。










塚地:「今日はダメみたいですね。」












・・・はい?














塚地:「ドクターストップがかかりまして・・・」







来た・・・




来た来た・・・





来たぞぉぉぉぉ〜!!!!









神様、降臨〜〜〜!!!












塚地:「一度皮膚科に行かれてちゃんと診断していただいてからじゃないと、こちらも何かあった場合の責任が取れませんので・・・」





オレ:「そうなんですかぁ〜。」





塚地:「保健の先生だけじゃなんとも・・・」









「保健の先生をバカにするんじゃねー!」とは思いつつも、自分のネタに関する「ひきの強さ」にシビレちゃってます。








塚地:「それに、ここのお店。来月で閉めることになってまして何かあった場合にアフターフォローが・・・」








オレってすごい・・・。

店に来るタイミングまですごい!!






自分の才能にシビレまくりです。












塚地:「ですので、今日のところはお引取り願いたいのです。」











うぉぉぉぉっっっっ!!!!
















ツモォォォォっっ!!!!














「メン」!

面談をしてみたら・・・







「タン」!

担当医に電話で相談されて・・・







「ピン」!

「ピンチになられても困りますし、今日はお引取り下さい」なんて言われちゃうようなネタを・・・







「イッパツ」!

イッパツでツモっちゃうオレって素敵だなぁ。
ふと、気づくとそこには・・・













「ドラドラァァッッ」!!!










ドランク・ドラゴンが・・・。

















ハネました・・・。(涙)









p.s.今日もノンフィクションです。「ベッカム化計画」は見事に頓挫しました。終わり。






あぁ!?ボーボーだよ!ボーボー!!
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